第197回演奏会のご案内
小松一彦の熱き想い
今回の指揮者は、昨年の創立50周年シリーズで2回共演して新響との関係がさらに近くなった小松一彦氏の登場です。最近では日本での活躍にとどまらず、プラハ交響楽団やロシアの名門サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団の客演指揮者を務めていますが、氏のチェコ・デビュー、モスクワ・デビューを飾った曲が今回とりあげるラフマニノフの交響曲第2番です。
ラフマニノフ--ロシアの魂
ラフマニノフといえばピアノ協奏曲第2番が有名ですが、3つの交響曲も残し、その中でも今回演奏する交響曲第2番はもっとも人気の高いロマンティックな曲です。この曲をご存知ないという方でも、耳にしたことのあるパッセージがいくつかあるかもしれません。
新響は6年前にロシア人指揮者ヴィクトル・ティーツ氏(ハバロフスク・ロシア極東交響楽団芸術監督)を招き、「オール・ラフマニノフ・プログラム」を演奏する機会がありました。氏のラフマニノフに対する思い入れは非常に深く、「ラフマニノフの楽譜の音譜ひとつひとつには、ロシアの魂が込められている」と語られていました。その時は交響曲第3番を演奏しましたが、「今度は第2番を」という話もあり次の機会を楽しみにしていたのですが、悲しいことに氏は昨年3月に亡くなり、叶わなくなりました。
この曲は「ロシア抒情交響曲」とも称され、ロシア固有の旋律こそ使われてはいませんが、ロシアの風景や民族の心情が音楽の中に主観的に表現されています。だからこそロシア人に愛され、私たちの心にも沁みるのでしょう。
ルーセル--近代フランスのシンフォニスト
ルーセルは、ドビュッシーやラヴェルと同じ世代の作曲家です。印象派と新古典主義音楽の移行期のパリにおいて、独自のスタイルの作品を残しています。日本では演奏される機会の少ない作曲家ですが、フランスでの評価は高いものがあります。交響曲第3番はルーセルの代表作ですが、鮮烈なリズムとしっかりとした形式の中にもフランスのエスプリが見え隠れします。いわゆる「フランスもの」と思って聴くと驚かれるかもしれません。
新響がルーセルの作品をとりあげるのは今回が初めてですが、これまで小松氏とはプーランクやフランク、ベルリオーズなどのフランスの作品を数多く演奏してきました。その蓄積を活かしてよい演奏ができればと思っています。どうぞお楽しみに!!