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第203回演奏会のご案内

●今回は小松氏の十八番
 新響の定期演奏会において小松一彦氏の登場は9回目となりますが、創立50周年記念シリーズや第200回演奏会といった節目での共演を経て、新響との関係を深めています。今回は、プラハ交響楽団の常任客演指揮者として度々チェコで演奏をしている小松氏が、得意中の得意とするチェコの大作曲家ドヴォルザーク交響曲第8番をプログラムしました。

●エルガー=イギリス近代音楽の父
 前半にはイギリスの作曲家の作品を2曲を演奏します。
 「Brigg Fair(ブリッグの定期市)」とは、イギリスのリンカーンシャー州北部のブリッグに伝わる民謡のことです。羊毛業の後継ぎであったディーリアスの生まれたヨークシャーとブリッグは近く、フランスに移り住んだディーリアスは故郷を懐かしみこのラプソディーを作曲したのでしょうか、郷愁を感じる美しい曲です。
 もう一曲はエルガーの出世作、エニグマ変奏曲です。“エニグマ”とは謎あるいは謎解きという意味で、元々の題名は「創作主題による変奏曲」でしたが、スコアの1ページ目に”Enigma”と印刷されていたのでこう呼ばれるようになりました。この曲は主題と14の変奏曲からなり、各変奏曲にイニシャルまたはニックネームがつけられていて14人のエルガーの友人たちの特徴が表現されていますが、それらが誰なのかというのが1つ目の謎。しかしこれは現在解明されています。もう一つ、全曲を通じての大きな主題が隠れているがそれは何でしょう、というのが2つ目の謎で、諸説あるがこれは未だに謎のようです。「愛の挨拶」で知られるエルガーは愛妻家で、この曲も妻のリクエストに応じてピアノを弾いていて生まれました。ちなみに1番目の変奏曲はエルガー夫人で、最後がエルガー自身です。

●ドヴォルザーク「イギリス」交響曲
 ドヴォルザークの交響曲第8番には「イギリス」という副題が付くことがありますが、イギリスの出版社から楽譜が出版されたというだけの理由で、イギリスというよりボヘミアののどかな風景を想像させ、ドヴォルザークの田園交響曲とも言われます。ドヴォルザークのそれまでの交響曲はワーグナーやブラームスの影響を残していますが、この第8番はまさにチェコの音楽であり、有名な第9番「新世界より」にアメリカの要素が入っていることを考えると、この第8番は国民楽派ドヴォルザークの真の代表作なのかもしれません。この曲は譜面が比較的簡単なためか学生オーケストラで演奏されることが多いのですが、その音符からは豊かな自然と人間の感情が湧き出てきます。小松氏のタクトに導かれる新響の熱い演奏にご期待ください!

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