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第210回演奏会のご案内

「やがて私の時代が来る」

 大作曲家として人気があるマーラーが生まれたのは1860年、今年は生誕150年にあたります。芸術の花開く世紀末ウィーンで、指揮者として名声を得ていましたが、作曲家としてはあまり受け入れられていませんでした。それから長い年月を経て自身の予言通り1970年代にマーラーブームが起こり、現在はクラシックコンサートの主要レパートリーとなっています。
 マーラーイヤーである今回の演奏会では、マーラーをライフワークとする高関健を指揮に迎え2007年10月の第9番、2009年4月の第6番に続き、マーラーの交響曲を演奏します。
 今回演奏する交響曲第7番は、1904~05年に作曲された5つの楽章からなる大曲で、テノールホルンやマンドリン、ギターといった通常オーケストラに登場しない楽器が使用され独特な雰囲気を出しています。同じ時期に作曲された第6番が劇的ながら伝統的な形式に従っているのに対し、第7番は多彩で前衛的です。ですので難解とされる向きもありますが、そこがまたこの曲の魅力なのでしょう。

マーラーとドビュッシー

 同じ時代、フランスでは印象派の芸術が台頭していました。ドビュッシーは印象派音楽の代表的な作曲家です。今回演奏する「イベリア」は、印象派の作風を確立した円熟期の1905~08年に作曲され、1910年にはマーラー指揮によりアメリカで初演されました。マーラーはニューヨーク・フィルの演奏会でドビュッシーの曲を多く取り上げており、自分の同志と思っていたのかもしれません。
 管弦楽のための映像は、「ジーグ」「イベリア」「春のロンド」の3曲からなり、それぞれイギリス、スペイン、フランスの民謡や舞曲が素材となった標題音楽ですが、客観的な描写ではなく心に映った印象を音楽にしています。必ずしも3曲まとめて演奏されるものではなく、特に「イベリア」1曲だけ演奏される機会が多いようです。スペイン情緒のなかにドビュッシーらしい響きがする楽しい曲です。

夜から朝へ

 マーラー交響曲第7番に付けられる「夜の歌」という副題は、マーラー自身が第2楽章と第4楽章に「NachtMusik(夜曲)」と名付けていることに由来します。このため、曲全体を指すわけではありませんが、時には荘厳にそして愛らしくまた妖しく、夜の雰囲気を漂わせています。ところが第5楽章は一転して明るく活気に満ち、曲想が目まぐるしく変化します。朝が来てお祭り騒ぎが始まるのかのようです。
 一方「イベリア」は、「街より道より」「夜の薫り」「祭りの日の朝」という3つの楽章からなります。マーラー交響曲第7番と同時期に作曲されたというだけでなく、夜~朝の情景の雰囲気を表現した音楽という共通項があり、その対比もお楽しみいただけると思います。
 どうぞご期待下さい。(H.O.)

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