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第214回演奏会のご案内

情熱と理性の指揮者 井崎正浩

 井崎正浩は、1995年にブダペスト国際指揮者コンクールで優勝し国内外で活躍しています。特にハンガリーにおいては国内の主要なオーケストラのほとんどに客演しており、2007年にはソルノク市(ハンガリーの東方、ブダペストより100km)音楽総監督に就任しました。ソルノク市に所属する交響楽団、合唱団、舞踊団、劇場などの音楽文化団体の活動や施設運用を総括するポストで、井﨑がハンガリーでいかに活躍し期待されているかがうかがえます。

チャイコフスキーの運命交響曲

 チャイコフスキーはロシアの大作曲家です。「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」といったバレエ音楽や「悲愴」などの交響曲が有名ですが、なかでも交響曲第5番はもっとも演奏される機会の多い人気のある曲です。暗く深刻な序奏で始まり、甘美なメロディあり、優雅なワルツあり、そして最後には勇壮な行進曲で盛り上がって終わるという、とてもドラマチックなところが好まれるのでしょう。
 この曲はチャイコフスキー48歳の時の作品で「運命の動機」が曲全体に登場します。まじめに生きてきたチャイコフスキーが年齢を感じ始め、人生を振り返って書いた切ない曲なのかもしれません。

天才プロコフィエフの若き日の作品

 チャイコフスキーはペテルブルク音楽院で学びましたが(創設時に2年生に編入)、その50年後輩にあたるのがプロコフィエフです。卒業試験で既に出版されている自作のピアノ協奏曲第1番を演奏して賞を取り、その褒美としてロンドンに外遊しロシアバレエ団を率いるディアギレフに会いバレエ音楽を依頼され、作曲したのが「アラとロリー」でした。ストラヴィンスキーの「春の祭典」と似ているとして上演されませんでしたが、大編成管弦楽用に改編したのが「スキタイ組曲」です。
 スキタイとは紀元前7~4世紀にアジア北西部を中心に活動していた遊牧騎馬民族で、ロシア民族の源流の一つと考えられています。「アラとロリー」は太陽神に反抗する暗黒の魔神が太陽神の娘アラを奪おうとするが、恋人のロリーが救い出し太陽神が魔神を打ち負かして日の出がくるというスキタイ人の太陽信仰に基づいた物語です。
 初演時にはグラズノフが途中で退席するなど、聴衆には衝撃的な演奏でしたが、現在では吹奏楽でもよく演奏される人気の曲となっています。

交響曲の父 ハイドン

 ハイドンは104曲(+数曲)と非常に多くの交響曲を作曲しました。古めかしいイメージがあるかもしれませんが、実に多様な曲を残し、楽しく優美で、ときにはユーモア満点の名曲ぞろいです。今回演奏する「時計」という呼称はハイドンがつけたのではなく、第2楽章が時計の振子を思わせることから19世紀につけられました。ラジオ「百万人の英語」のオープニングにも使われたので耳に馴染んだ
方も多いでしょう。

 多彩なプログラムをどうぞお楽しみください。(H.O.)

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