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第221回演奏会のご案内

 今回の演奏会の指揮は、2012年に文化功労賞に選ばれ、2014年に新国立劇場芸術監督就任予定の飯守泰次郎。ますます音楽へのこだわりが深くなり聴く者に感銘を与えます。曲は飯守の得意とするドイツ音楽から「ドン・ファン」「ばらの騎士」「田園」と楽しいプログラムを選びました。

 「ドン・ファン」はR.シュトラウス(1864-1949)が最初に発表した交響詩で、華やかなオーケストレーションで成功を収めました。ドン・ファンとは、スペインにいたとされる伝説的人物で"千人斬り"の好色漢。文学作品やオペラ、映画などの題材になっています。モーツアルトの「ドン・ジョバンニ」(イタリア語)は夜這した先で父親を殺してしまい、その霊によって地獄に堕ちますが、こちらの「ドン・ファン」は最高の愛を追い求める理想主義者として描かれています。

 「英雄の生涯」を最後に一連の交響詩を作曲した後は、オペラを多く書いています。「ばらの騎士」はその中でも人気があり現在も世界中の歌劇場で頻繁に上演されています。ばらの騎士とは婚約の印に銀の薔薇を届ける使者のことですが、舞台となるウィーンの貴族社会でこのような習慣は実際にはなかったようです。侯爵夫人と不倫していた若い貴族が、夫人の従兄の男爵に見つかりそうになって女装したら口説かれて、男爵の使者として銀の薔薇を渡した娘と恋仲になって結婚する〜という喜劇です。今回演奏するのは演奏会用に編曲された組曲で、わかりやすく楽しめます。

 「田園」はベートーヴェン(1770-1827)の言わずと知れた代表作です。9つの交響曲のうち、作曲家自身がタイトルをつけたのはこの曲だけで、5楽章からなり各楽章に標題がついているという点でも独特な作品です。のどかで美しい風景が広がりますが、当時としてはかなり前衛的だったでしょう。第5番「運命」と同時期に作曲され同じ演奏会で初演されましたが、この2曲は正反対で、第5番が激しい内面を現す絶対音楽であるのに対し、第6番は外に目を向け明るい標題音楽となっています。ウィーン郊外のハイリゲンシュタットに住み自然を愛したベートーヴェンの癒しのひとときかもしれません。

 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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