第222回演奏会のご案内
今回の演奏会は19世紀末期のドイツロマン派の作品をプログラミングしました。今回の2曲は共に映画の名作で使われていることでも有名です。イングリッド・バーグマン主演の「さよならをもう一度」(1961年)ではブラームスの交響曲第3番第3楽章の甘美なメロディがアレンジされて全編で流れ、SF映画「2001年宇宙の旅」(1968年)では「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭がメインタイトルで鳴り響きます。
ブラームス:交響曲第3番
ブラームス50歳の時に3番目の交響曲は書かれました。第2交響曲の作曲から6年が経ち、この間イタリアやハンガリーなどを旅行した経験からか、無骨で素朴な第1番・第2番に比べ、より流暢で洗練されています。
また、ベートーヴェンの第3交響曲になぞらえて「ブラームスの英雄交響曲」と呼ばれることもあり、確かに1楽章や4楽章で勇壮な個所はありますが、ロマンティックで哀愁を感じる名曲です。
R.シュトラウス:「ツァラトゥストラはかく語りき」
この巨匠に対して「ブラームスが創造したものは無能力のメランコリーである」と批判をした哲学者がいました。ニーチェです。ブラームスと同時代に活躍したニーチェは、若い頃から音楽に関心を持ち作曲もしていました。当時ワーグナー派とブラームス派が激しく対立していましたが、彼はワーグナーに心酔していました(後に決裂)。
そのニーチェの主著である「ツァラトゥストラはかく語りき」を題材に交響詩を書いたのがR.シュトラウスです。彼はミュンヘン大学の哲学科で学び、32歳の時に同著に触発されて作曲しました。「ツァラトゥストラ」は、紀元前6世紀頃のゾロアスター教の教祖のことで、ニーチェが自分の思想を語らせています。簡単に言うと、神ではなく今を生きる自分自身を大切にするということかもしれません。哲学というと難しいですが、R.シュトラウスの巧妙なオーケストレーションで楽しい曲となっています。
どうぞお楽しみに!(H.O.)