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第232回演奏会のご案内

2016年は新交響楽団創立60周年
 人間でいえば還暦、アマチュアオーケストラとしての可能性を模索し活動をまいりましたが、今一度振り返り新しい出発とすべく、創立60周年シリーズとして新響らしい企画で取り組んでいきます。
 新響の前身となる東京労音アンサンブルが、当時すでに作曲家として世に知られていた芥川也寸志を招聘し、1956年に発足しました。芥川は、演奏のみならず運営にも深く関わり1989年に亡くなるまで新響を愛してくださいました。

芥川の大作「交響曲第1番」
 今回の演奏会では創立60周年シリーズの第一弾として、芥川の交響曲第1番を、多くの日本人作品の録音で知られる湯浅卓雄の指揮で演奏します。
 黛敏郎、團伊久磨とともに活動をしていた「三人の会」の第1回演奏会のために作曲されました。3楽章形式でしたが、その後ソヴィエトへ渡航しショスタコーヴィチやハチャトリアンなどの名だたる作曲家たちと交流して帰国後、第2楽章が加えられ4楽章からなる「交響曲第1番」として初演されたのが、ちょうど60年前のことです。第1番とつけられましたが、番号付きの交響曲はその後書かれませんでした。
 芥川作品の特徴は、明るく快活で、わかりやすい和音と親しみやすいメロディです。この曲は少々重厚な曲想ではありますが、30歳の若いエネルギーに満ち、ソヴィエト音楽への憧憬が垣間見える愛すべき作品となっています。「交響管弦楽のための音楽」や「トリプティーク」がコンサートの演目として頻繁に演奏されるのに比べ出現機会が少ないのが残念ですが、芥川の代表作として未来に繋いでいきたいと考えています。

エルガーの「英雄交響曲」
 そしてもう一曲は、湯浅が今も居を構え拠点にして活動してきたイギリスの、国民的作曲家エルガーの交響曲第2番です。エルガーは「威風堂々」や「愛の挨拶」などで有名です。
 若きエルガーはドイツ・ライプツィヒへの留学を希望するも経済的に叶わず、イギリスで活動をする中で名声を得ました。出世作であるエニグマ変奏曲がドイツで演奏された際には、面前でR.シュトラウスに賞賛されたということです。
 交響曲第2番は、当初イギリスの軍人ゴードン将軍の英雄伝を聞き着手された後、国王エドワード7世に献呈するために作られました。勇壮で変ホ長調であること、ナポレオンに献呈されたこと(後に撤回)など、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と類似しています。
 作曲中に国王が崩御し表向きは追悼曲となりましたが、エルガーの自伝的な想いが込められています。この曲が出来たのはエルガー53歳の時でしたが、次の交響曲が未完に終わり、この第2番が最後の交響曲となりました。複雑でドラマティックなこの曲は、どことなくR.シュトラウスの「英雄の生涯」を思わせます。作品の中でエルガーがそれまでの人生を振り返ったように、新響もこれまでの60年を振り返り、新たな出発となるような演奏をしたいと考えています。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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