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第235回演奏会のご案内

創立60周年シリーズ第4弾
 記念シリーズの最後として、新響が大切な作品として度々演奏している伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」と、同時代を生きる作曲家、吉松隆の小交響曲を取り上げます。そして後半はクラシック音楽の王道レパートリーであるブラームスの交響曲第1番を演奏します。

ゴジラの作曲家 伊福部 昭
 伊福部昭は北海道に生まれ、中学時代に後に音楽評論家となる三浦淳史と出会って音楽に興味を持ち独学で作曲を始めます。北海道帝国大学で林学を学び北大オケではコンサートマスターをつとめました。卒業後も林務官の仕事の傍ら作曲を続けコンクール第1位入賞を機にチェレプニンに短期間指導を受けますが、ほぼ独学で作曲家となりました。その後は民族色の強い個性的な多くの作品を残し、「ゴジラ」などの映画音楽や大学で教え多くの作曲家を育てるなど2006年に91歳で亡くなるまで活躍し、今年は没後10年にあたります。
 今回演奏する「シンフォニア・タプカーラ」改訂版は、新響が1980年に開催した伊福部昭の個展で初演され、新響では16回目の演奏となります。タプカーラとはアイヌ語で「自発的に踊る」という意味で、心を揺さぶるメロディと熱狂的なリズムのオスティナートで表現されるこの曲を、新響はこれからも演奏し続けていきたいと考えています。

鳥の作曲家 吉松 隆
 吉松隆は東京に生まれ、中学時代にアマチュアフルート奏者の父親に<運命・未完成>のレコードを買ってもらい渡されたスコアを見て衝撃を受けて作曲家を志します。オーケストラがあるという理由で慶應義塾高校を選び、大学は工学部に進むも作曲に専念するため中退します。憧れの松村禎三に師事(つまり伊福部昭の孫弟子にあたる)しましたが独学であることにこだわり、いわゆる現代音楽が無調で前衛的なことが当たり前の時代に、調性とメロディのある音楽で挑み続けました。現在までに交響曲6曲を含む多くの作品を生み出し、大河ドラマ「平清盛」など放送や映画でも活躍しています。
 吉松の作品の多くは「鳥」をテーマにしています。鳥は美しく歌い自由に空を飛ぶ。鳥は吉松自身であり聴く者の魂なのかもしれません。今回演奏する「鳥のシンフォニア」は、2009年に仙台ジュニアオーケストラの委嘱で作曲され、山下一史の指揮で初演されました。鳥の歌やジャズが出現する5楽章からなる楽しい曲です。

ベートーヴェンの後継者 ブラームス
 ブラームスはベートーヴェンの9つの交響曲を意識して慎重になり、最初の交響曲は構想から21年もの歳月をかけて完成されました。当時は交響詩や標題交響曲など新しいジャンルが台頭していましたが、この第1番はベートーヴェンからのスタイルを踏襲しつつも、オリジナリティに満ちています。初演は聴衆の期待に応えて成功し、「ベートーヴェンの第10交響曲」とも呼ばれました。最後は第九の歓喜の歌に呼応するかのように歌いあげ感動的なクライマックスとなります。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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