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第241回演奏会のご案内

ウィーンにこだわる指揮者 寺岡清高
 寺岡氏は早稲田大学文学部を卒業後、桐朋学園大学を経てウィーン国立音楽大学指揮科で学びました。今もウィーンに在住し、ヨーロッパ各地のオーケストラに客演するほか、2004年大阪交響楽団正指揮者に就任し現在は同楽団常任指揮者を務めるなど、国内でも活躍しています。
 19世紀末から20世紀初頭のウィーンでは各分野の芸術が花開き、世紀末ウィーンと呼ばれます。音楽の世界では、ロマン派の素晴らしい作品も生まれましたが、シェーンベルクをはじめとする無調の新ウィーン楽派の陰に隠れた感があります。今回の演奏会では、そういった作曲家の中からフランツ・シュミットとコルンゴルトの作品を取り上げます。
 シュミットは1874年生まれ、マーラー率いるウィーン宮廷歌劇場でチェロ奏者を務めており、作曲家としての出発は遅いですが、伝統的ながら斬新で歌に溢れた作品を遺しています。
 歌劇「ノートルダム」は、文豪ヴィクトル・ユゴーの傑作「ノートルダム・ド・パリ」を基にしています。ノートルダム大聖堂を舞台とした醜い鐘つき男とジプシーの美しい踊り子の悲しい恋の物語です。Norte-Dameとはフランス語で我らが貴婦人という意味で聖母マリアを指し、ゴシック様式の美しい聖堂はパリを象徴する建物の一つです。
 シュミットの代表作であるこのオペラは、中でも間奏曲が有名で、カラヤンが好んで演奏した美しい曲です。
 コルンゴルトは1897年生まれ、幼くして作曲の才能をみせた神童で、ウォルフガングという名前からもモーツァルトの再来と呼ばれるほどでした。今回演奏する「劇的序曲」は14歳の時に大指揮者ニキシュの委嘱により作曲されました。
 早くから一線で活躍し世界的なオペラ作曲家として認められました。その後映画音楽にも活躍の場を広げ「ロビンフッドの冒険」でアカデミー音楽賞を受賞、「スターウォーズ」の音楽で知られるジョン・ウィリアムズらに影響を与えました。
 原題のSchauspiel-Ouvertüreは劇への序曲といった意味ですが、オペラや映画音楽で活躍したコルンゴルトらしくドラマティックな作品となっています。

シューベルトの最後の交響曲
 さて後半は、同じくウィーンで活躍した作曲家シューベルトの大曲、交響曲第8番を演奏します。シューベルトは1797年生まれ、歌曲王として知られ「野ばら」「魔王」など多くの名曲を残しています。交響曲では「未完成」が有名ですが、「グレート」も同様に人気でよく演奏される曲です。
 交響曲第6番が同じくハ長調のため、区別するために「大きい方のハ長調」という意味で「ザ・グレート」とされていますが、雄大でロマンティックな楽想は、まさに偉大と呼ぶに相応しい作品です。作曲家自身この曲をとても気に入って「歌曲をやめてオペラと交響曲だけにする」と言ったと伝えられています。しかし程なくして31歳の若さで病死、初演されたのは10年後でした。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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