第267回演奏会のご案内
【聖堂に満ちる響き-オルガニスト・ブルックナーの交響曲】
ドナウ川に面したオーストリア・リンツの南郊にある聖フローリアン修道院。ここでオルガニストをつとめていたのがアントン・ブルックナーです。当時は著名なオルガン奏者でしたが作曲家としては「遅咲き」で、最初の交響曲を上梓したのは40を過ぎていました。
ワーグナーに献呈した第3番の後、大きな評価を得たのが今回取り上げる第4番です。「ロマンティック」のタイトルは本人が書簡の中で用いた表記によりますが、このタイトルと親しみやすさで、9つの交響曲の中では演奏頻度が最も高い作品となりました。聖堂内の空間を満たすオルガンの響きを想起させるコラールはこの作曲家の特徴ですが、壮大な残響の後のゲネラルパウゼ(総休止)が印象的で、第2番の初演の際には「総休止交響曲」などと揶揄されたことも。
ウィーンから北東へ約200km、同じくオーストリア=ハンガリー帝国(現チェコ)の小村に生まれたヤナーチェクの「利口な女狐の物語」は、ブルノの新聞に連載された「絵物語」に題材を得たオペラで、寓話的な要素に富む色彩豊かな作品。今回はターリヒ、イーレクの版から抜粋しました。ルトスワフスキは今年で没後30 年を迎えますが、民族楽器の笛の響きを模した冒頭が印象的なフヤルカ他、全4曲からなる作品です。(K.I.)