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ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」

横田尚子(オーボエ)

 維持会の皆様、はじめまして。
 昨年8月にオーボエパートに入団しました横田尚子と申します。
 大学を卒業し、社会人二年目に入ります。
私は両親が邦楽(尺八、琴)、兄姉も楽器を演奏する環境の中で育ちました。私自身も3歳からピアノを始め、中学高校では、吹奏楽でサックスに没頭し、音楽が生活の大半を占めるという毎日を過ごしてきました。大学では、オーボエの音色に魅かれ、早稲田大学交響楽団でオーボエを始めました。そして、大学オケでのヨーロッパ演奏旅行の体験が、オーケストラへの関心をより深めるものになりました。
 憧れの新響に入団することが出来、学生時代に何度も新響の演奏会に足を運んだその舞台に自分が立っているのが夢のようです。
 入団して10ヶ月余り、レベルの高さに圧倒されそうな毎日ですが、素晴らしい環境で精進し、技術を磨いていけたらと思います。

 今回はベートーヴェン交響曲第3番に乗らせていただきます。
 ベートーヴェンの生きた背景を考える上で重要になってくるのが、晩年はほとんど聴こえなかったといわれている耳の障害。先の見えない絶望からハイリゲンシュタットの地で遺書を書いたのです。自身に降りかかる運命に絶望を感じながらも、その壁に立ち向かい、乗り越えるという強い意志が生まれ、ベートーヴェンの中に新しい音楽が湧き上がりました。そして1804年に交響曲第3番を完成させたのです。
 題名となっている「英雄」は、この時代の歴史的背景にあるフランス革命でのナポレオンであるとされています。自身の運命との葛藤と、社会に起きている革命の中にある強いエネルギーを、今までにない新しい構成を使って表現しています。
 この曲を演奏するにあたって、いくつかの課題がありました。あまりにも有名な曲であるため、自分の中のイメージが先行してしまい、表情をつけ過ぎてしまうということです。
 余計な先入観を捨て、楽譜に忠実にというのが難しく、とても重要な課題となりました。また、曲の背景を知ることで、曲に寄り添いながら演奏することの大切さも実感しました。今後、多くの曲に出会っていく中で、それぞれの曲へのアプローチを大切に考え、レベルアップしていけたらと思います。
 今後ともご指導の程、宜しくお願い致します。
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