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新任首席奏者に聞く-その1

藤原 桃(ファゴット)

<はじめに>
・『維持会ニュース』編集人の松下氏(フルートパート首席)より、「維持会ニュース紙面にて『新任首席奏者に聞く』という連載を新たに開始するので一発目を書くように」との下知を受けました。新響の並み居る奇人変人の中にあっては刺激の少ない話題しか持ち合わせておらず恐縮なのですが、松下氏の御下知には逆らえません。こんな人間が吹いてるんだな、と少しでも親近感を持って頂ければ幸いです。

<基礎情報>
・藤原桃(ふじわら・もも)と申します。
・35歳、家族は夫(大学オケの同期、ファゴット吹き)と娘(4歳)。
・千葉県生まれ、茨城県育ち、千葉県在住。関東平野を出たことがありません。
・職業は市役所職員。大学では民俗だの文化財だのを勉強していたので、入庁当初は文化財担当配属でしたが、その後異動を重ねて現在は国民健康保険課*1所属。
・新響には2010年7月に入団し、11年目。2020年シーズンよりファゴットパート首席を拝命しています。

<使用楽器>
・モーレンハウエル(プロフェッショナルモデル5ピース)昨年末に買ったばかりで、実は今回の演奏会がデビュー戦です。
・ファゴットは本体が4つのピース(部品)から成っており、吹くときにはそれらを組み立ててあの長い筒のような形状にするわけですが、この楽器は普通より1つ多い5ピースから成っています(分解できる部分が1か所多い)。それによって普通の楽器よりも小さいケースに収納できるのがポイントです。新響の練習へ参加するのに往復2時間近く楽器を持ち運ぶので、ケースが小さいことは意外と重要です。
・「貴婦人」とも形容される、優しくてふくよかな音色が最大の魅力。まだまだ買ったばかりで吹き込みが足りないので、コロナ禍を逆手にとってじっくり育てていこうと考えています。

<練習環境>
・自宅に電話ボックスくらいの防音ブース(ヤマハ・アビテックス)を入れています。中で迂闊に方向転換できないくらい狭く、夏場は30分でサウナと化します。子供が産まれたら自宅にいつでも吹ける環境が無い限り練習できないと思い、娘の出産前に導入したものですが、この決断は正しかったと思っています。
・毎日夜9時くらいには娘とともに寝てしまうので、翌朝4時頃起きて30分~1時間程度防音室の中で練習しています(不真面目なので毎日は吹きません。1週間のうち4日くらい)。
・なお仕事、家事、育児に加え楽器までやっていて凄いね!とお褒め頂くことがありますが、新響の託児制度や家族の多大なる理解協力など、様々な助けを得てなんとか(適当に)こなしている状況です。新響団員にはさらに何足もの草鞋を完璧に履きこなしている超人が山ほど居り、尊敬するばかりです。

<新響以外の活動>
・茨城の知人に誘われた木管五重奏団で、10年くらい活動を続けています。水戸芸術館のオーディションに受かったので、来年あたり水戸芸術館でコンサートを行う予定です。

<趣味嗜好(好きなもの)>
1)曲、作曲家
・どんな人のどんな曲でも吹き始めるとだいたい好きになりますが、特に素晴らしい職人技だと思うのはラヴェルのオーケストレーション。人類を超越していると思うのはメンデルスゾーンとシューベルト(自然、宇宙のなせる業としか思えない)。
・例外として、シューマンのオーケストラ曲はまだ良さを理解できる境地に至っていません(ピアノ曲は好き)。

2)ファゴット奏者
・読響首席の井上俊次氏。何を吹いても独特の、人間味に溢れた演奏になるすごい人。大きなソロはもちろん、ちょっとしたフレーズであっても、井上さんはどう吹くだろう…とワクワクさせてくれる(そして120%井上さんらしい演奏を聞かせてくれる)、ファゴットって本当に味のある楽器だなと思わせてくれる素晴らしい奏者です。ああいう奏者になりたいと思っています。

3)ファゴット以外の楽器
・クラリネット(特にシャリュモー音域*2は最高)、ホルン。
・クラリネットはオケでもアンサンブルでも常に寄り添いたい、最愛の相手。クラリネットを引き立てるためにファゴットを吹いていると言っても過言ではありません。
・ホルンはフルオケの中で勇猛なソロも吹けるのに、木管五重奏のメンバーにもなれる。おいしすぎます。次の人生ではホルンを吹きたいと思っています。
・なお弦楽器は弦楽四重奏曲が山ほどあって羨ましいが自分で弾きたいとは思いません。無理。
・ファゴット以外に演奏できるのはピアノ、サックス(後述)。

4)その他
・クラシック以外で好きなのはビートルズ、井上陽水。
・ビールはサッポロ。

5)楽器以外の趣味
・大相撲鑑賞。長らく嘉風関のファンでしたが、引退しちゃったので現在は宝富士推し。
・アニメ鑑賞も好きで、広く浅く色々見ます。最近良作だと思ったのは「映像研には手を出すな!」 *3

<音楽との接点(1)ピアノ>
・小学1年生から高校3年生までピアノを習っていました。先生に言われるがまま常套コース*4をすすみ、全音出版社の青いピアノ譜ばかり弾かされて辟易していましたが、大学入学後は呪縛から解放されて楽しく弾けるように。基本的な読譜力とか調性感、和音を掴む感覚なんかはピアノのお蔭で多少身についたかなと思います。今は娘に邪魔されながら、モンポウの「歌と踊り」 *5を少しずつ練習中。

<音楽との接点(2)バリトンサックス>
・中学入学と同時に吹奏楽部に入部(運動音痴なのでそれ以外の選択肢はなかった)。顧問の先生の「あなたは肺活量が多いから」の言葉に騙されて吹くことになったのがバリトンサックスでした。
・一般的には、サックス族の中では花形とはいえないバリトンサックスですが、実は一度経験すると虜になってしまう最強の楽器です。発音も運指もさほど難しくないうえ、音量が出る、音程が良い、音の立ち上がりも良い。中学吹奏楽部くらいのレベルだと完全に低音セクションを牛耳ることができます。わたしも13歳にして低音の魅力に開眼し、3年間けっこう頑張って吹きました。ちなみに新響のファゴットパートは、4人中3人がサックス経験者です。
・一方で、高校入試の前くらいにテレビCMか何かで偶然ファゴットの音色を知り、なんとなく興味をもちます。

<音楽との接点(3)ファゴット(吹奏楽部)>
・高校入学と同時に引き続き吹奏楽部に入部。気になっていたファゴットが、ちょうど先輩が引退してしまい空きがあるということで、すんなりファゴット担当に決まります。先輩・同期ゼロなので教本を見ながら独学(ファゴットあるある) *6。
・ファゴットはバリトンサックスに比べると音程が悪く、小さい音しか出ず、運指も複雑怪奇(高音域は自分で運指を創作するように、と先輩のメモがあり目を疑う)。楽器の性能としてサックスに激しく劣るという印象を受け、開始早々ファゴットを選択したことを若干後悔します。さらに吹奏楽界におけるファゴットの扱い(マーチの楽譜はほぼ100%「option」。ファゴット譜が存在しない曲も結構ある)も徐々に分かってきて、他の部員が合奏しているのを尻目に狭い準備室で1人「ワイセンボーン」 *7を練習しながらファゴットを選択したことを若干後悔する日々が続きます(実際にはファゴットが大活躍する吹奏楽曲もたくさんあります)。
・しかし高校1年の夏のコンクールでドビュッシーの『海』吹奏楽編曲版を吹くことになり、認識が変わります。吹奏楽曲の譜面とは桁違いの難易度にひっくり返りそうになりますが、合奏してみると、なんとファゴットを活躍させてくれることか。当時オーケストラ曲はほとんど聞いたことがありませんでしたが、ファゴットを続けるならオーケストラに入るしかないと確信します。この頃から『N響アワー』なんかも少しずつ見るようになります(折しも首席ファゴット奏者として水谷上総氏が就任したばかりで、その活躍ぶりに夢中でした)。

<音楽との接点(4)ファゴット(管弦楽団)>
・大学1年生で迷わず管弦楽団に入団。管楽器の1年生はオケの乗り番を与えてもらえず、半年くらいは「必修アンサンブル」をひたすらやらされるのですが、そこでまずは木管アンサンブルの楽しさにハマります。セクションで所有しているアンサンブル譜の蔵書を手当たり次第に吹き、自主コンサートなども企画開催しました*8 。今でも木管アンサンブルは大好きで、自分にとってオケとアンサンブルは音楽活動の両輪です。
・オケ曲の乗り番をもらえるようになってみると、こちらも予想通り大変楽しく、オケ漬けの学生生活に。団でけっこう良いコントラファゴットを所有しており、(積極的に吹く人が居なかったので)ほぼ独占状態でたくさん吹けたのも低音好きの自分にとっては幸せな状況でした *9。

<新響に入ったきっかけ>
・大学オケの木管セクションには代々語り継がれている神話があり、それは「オーボエの大先輩に『シンキョー』という日本で一番上手いアマオケに所属する『神』が居るらしい」というものでした。「新響」という名前はその文脈の中で初めて知りましたが、自分には縁のない天界の話だと思って聞き流していました。
・一方、大学オケには「木管アンサンブルツアー」という年中行事もありました。端的に言えば世代間交流のためのお楽しみ会で、木管セクション+ホルンパートの現役団員から卒業された大先輩方までが(時には家族連れで)那須だの河口湖だのに楽器を持って大集合し、日中はアンサンブルまたは観光、夜は宴会を楽しむという2泊3日の小合宿です。初対面の先輩と一緒に吹いてもらったり、最終日にはその場にいる全員でモーツァルトの『グランパルティータ』を吹いたり、宴会では昔の定期演奏会の話や先輩の武勇伝を聞いたりと大変楽しい会で、わたしも毎年ツアーの開催を心待ちにしていました。
・ある年、アンサンブルツアーの宴会で楽しく飲んでいると、夜中の0時近くになって「オーボエの神が降臨されたから挨拶に来い」と先輩から呼び出しを受けます。そこで初めてお会いしたのが、大学オケの大先輩で新響オーボエ首席の堀内さんでした。これは「神」のオーボエを間近で体感できる千載一遇のチャンス!翌朝、わたしは無謀にも『ルネ王の暖炉』 *10の譜面を握りしめて堀内さんを突撃し、一緒に吹いてほしいと請願しました。これがきっかけで堀内さんに名前を覚えてもらったようですが、肝心のアンサンブルは「神」の音色に聞き惚れていて大したパフォーマンスはできなかったと記憶しています。
・この時は「貴重な体験ができて寿命が延びたわい」くらいに思っていたのですが、意外にも翌年のアンサンブルツアーに「神」堀内さんはまた降臨されました。宴席で、自分が4月からは千葉で市役所勤めすること(当時大学院の修士2年だった)、オケを続けたいがどこに入ろうか悩んでいることなどを話すと、神というよりは菩薩のように穏やかな堀内さんの目の奥が一瞬キラリと光ったようでした。
・ツアー終了後ほどなくして、堀内さんから新響入団のお誘いのメールを頂戴します。お誘い頂いた事自体は夢か現かと思うほど嬉しかったのですが、一方で、これまで競争とは無縁のユルい環境でしか音楽をやってこなかったため、そんなにレベルの高い団でやっていけるのか(やっていくのが楽しいのか)、そもそも入団に際してオーディションを受けねばならないのが嫌すぎて実際はかなり迷いました。しかし現人神からの天啓に背くという選択肢をとる勇気もなく、とりあえず大人しく練習見学に行き、オーディションを受けることに。オーディションは全然うまく吹けた気がしませんでしたが、何の手違いか入団させて頂いてしまいました。熱烈な憧れをもって入団してくる団員も居る中恐縮ですが、わたしの場合は堀内さんにお誘い頂かなければまず新響に入っていなかったと思います。堀内さんとアンサンブルツアーには足を向けて寝られません。

<新響入団後~現在>
・入団後最初のシーズン(第210回)はマーラーの交響曲第7番がメインでした。マーラー初体験だったうえ7番というのは特に変わった曲で、もはや全てが意味不明でしたが、高関先生の指揮で無我夢中のうちに本番を終えた直後「ああ、こんな体験をしてしまったらもうやめられないな」と思った記憶があります。
・とはいえ入団後2年くらいは正直レベルについていけず、tuttiで失敗しては落ち込んでいたのですが、ファゴットパートのメンバーが常に励まして(練習後に必ず飲みに連れて行って)くれたおかげで何とかドロップアウトせずに踏ん張れたようです。オケ中での立ち振る舞いが判ってきて、練習の度に心臓バクバク状態にならなくなってきたのはようやく入団3年目くらいから。前首席の田川さんが、未熟者のわたしにもチャレンジングな乗り番をたくさん充ててくれたお蔭で、経験を積むことができたと思っています。
・田川さんは、30年以上ファゴットパートの首席を務められた大ベテラン。演奏面ではもちろん、パートの皆にも常に細やかに気をまわして下さる(パートで飲みに行くと注文は全部田川さんがしてくれる)頼りがいのある最高の首席だったのですが、数年前から世代交代のご意向を少しずつ伺うようになり、今まで散々お世話になった手前断れないので致し方なく引き継がせて頂いて現在に至ります。

<首席の仕事と自分のパートについて>
・首席は各パートの管理、技術力維持向上に責任をもつ立場です。パートの管理というのが意外と面倒で、毎回の演奏会における楽譜の管理*11、出欠状況の把握と代奏の手配、パート飲み会の設定など、途切れなく仕事があります。さらにここ1年は新型コロナウイルスの影響により、前例のない案件について緊急に判断せねばならない場面が多く、責任の重さを改めて感じているところです。
・技術面では、演奏会のローテーション(誰がどの曲のどのポジションを吹くか)を決めること、会議に出席して練習計画・内容などを審議すること、入団オーディションの審査をすること、などが仕事です。会議は月1回ペースで実施され、首席のメーリングリストでは毎日メールが山ほどやりとりされています。
・演奏会のローテーションは、アマオケにおいては紛争要因になることも少なくない*12のですが、新響は首席が勝手に決めてくれるのでその点が大変良いと入団当初から思っていました。今はその重責が自分にのしかかっているわけですが、あの人がこのパートを吹いたらどんな感じだろう、と色々シミュレーションしてはワクワクするのはなかなか楽しいものです。プロオケだと首席はパートで最も上手い人であり、1stの席にしか座らないと思いますが、少なくとも新響のファゴットパートの場合はわたしが最も上手い人ではありません。もちろん常に技術力向上を目指してはいますが、現在のファゴットパートは名手揃いで、全員1st、2nd、コントラファゴット、何でも吹ける頼もしいメンバー。首席云々はあまり考えずほぼ均等にローテーションをまわすことができる、大変ありがたい状況です。
・メンバーの質には恵まれているものの、現在のファゴットパートは定員6名のところ在籍4名。わたし以外の3名は全員アラカン(アラウンド還暦)のおじさまです。若手新人を迎え入れて、育成・世代交代の準備をすることは急務と考えています。ファゴットという楽器は演奏人口が他の管楽器に比して多くないため、アマオケ界においては売り手市場。新響のように拘束が多く、練習は厳しく、団費も安くないオケに敢えて身を投じなくても、好きな時だけ楽しく吹ける場所がたくさんあり、特にわたし以下の世代ではそういった関わり方を好む人の方が多いのかなという気はしています。それでも新響の演奏に感動して、活動内容に魅力を感じ、積極的に関わっていきたいと思ってくれる人を探して、ぜひ仲間になってほしいと思っています。

<新響の魅力とは>
・新響の魅力は「濃ゆさ」だと思っています。入団後びっくりしたのが、音符のあるところは常にフルスロットルな音がすること。連譜は全て全力、フレーズもお尻まで全部歌い込む。はみ出ちゃいそうだから最後はちょっとすぼめとこう、とか、ここは目立たないからちょっと楽に吹こう、とかいう選択肢がない。結果的に他とズレたり飛び出ることもあるし、よりスマートで整った演奏を目指すならもう少し大人の引き際もあるだろうと思うのですが、音楽的に表現したいことは常に全力でやることによって、新響ならではの密度あるサウンドが出来あがっているのかなと感じます。
・団員そのものが人間的に濃ゆいのも新響の面白いところです。たとえば2010年の211回演奏会では、権代敦彦氏の『ジャペータ』という曲を演奏しました。「ジャペータ」とは、パーリ語で「荼毘(だび)」の語源となった言葉らしいのですが、果たして本当にそうなのか?という論争が団内で巻き起こりました。わたしはたまたま学生時代にサンスクリット語(古代インド語。パーリ語に近い)を履修しており、これはいよいよ自分の出番が来たか…と勿体つけて辞書をひっぱり出してきたところ、その一瞬の間に「東大のインド文学教授の兄に聞いてみた」だとか「外語大のパーリ語専門の同僚に確認したが」なんて報告が次々と上がってきており仰天した覚えがあります。辞書を元の棚にそっとしまいつつ、パーリ語の話題でこれだけ盛り上がって追求できる新響団員の知識、人脈、マニアックな探求心に心底感嘆したものです。
・とはいえわたしの在籍するこの10年の間にも、ザ・新響といった濃ゆさの塊みたいな団員が何人か辞め、全体に高齢化も進み、やりたい事同士がぶつかり合うような勢いが少し弱まってきたようにも感じます。魅力をそのままに、うまく世代交代していけるか。長い歴史を持つ新響ですが、世間の変化のスピードがどんどん速くなる中、ある意味今が過渡期なのかなと感じています。わたしも凡人なりに、常に全力で音楽を楽しみつつ、この60年以上続く素敵な団を盛り上げていければと思っています。維持会の皆さま、どうか今後とも変わらぬご支援の程をよろしくお願いいたします。

*1 市役所内の異動したくない課トップ3の1つ(激務+制度が複雑なため)。わたしは財務担当なので、日々保険税収入と保険医療費支出の不均衡に頭を悩ませています。

*2 最低音域。これぞ木が鳴っているという感じの、ちょっと鼻詰まり気味で太い音がする。

*3 2020年1~3月NHK総合で放送。アニメ制作に青春をかける高校生たちの話。

*4 「バイエル」→「ブルグミュラー」→「ツェルニー」を主軸に「ハノン」「ソナチネアルバム」「ショパンのワルツ集」「バッハのインベンション」等々の教本を併行して進めていくコース。「ツェルニー」の教本は「30番」を終えると「40番」、それを終えると「50番」とだんだん1冊あたりの曲数が増えていき、心が折れそうになる。

:*5 50年以上かけて書き溜められた小品群。モンポウ自身が80歳超えてから弾いた自演録音が最高によい。ちなみに、新響をよく振ってくださる指揮者の湯浅先生の口癖も「音楽は『歌と踊り』です」。

*6 以来ずっと独学で、実はファゴットをきちんと習ったことが一度もありません。未だに間違えている指使いなどが発覚し、新響の他のメンバーに教えてもらうことも。子育てが一段落したらいつかレッスンにつきたいと思っています。

*7 ファゴット奏者が必ず使用する教則本。1巻、2巻とあり、2巻の曲は芸大の入試でも吹かされます。

*8 ダンツィの木管五重奏曲(有名なのは「B-Dur」「g-moll」の2曲だが、実は全部で9曲ある)全曲公開録音演奏会などというマニアックなのもやりましたが、お客さんは4人しか入りませんでした。

*9 団のコントラファゴットを勝手に持ち出しては、方々のオケでエキストラを請け負って荒稼ぎしていました(もちろん団規違反にあたる)。

*10 ミヨー作の木管五重奏曲。7曲からなる組曲で、1曲目冒頭のオーボエのメロディが、暖かいようなアンニュイなような独特の魅力がある。このメロディを素敵に吹けるオーボエ吹きはうまいというのが持論です。

*11 シーズン前に配り、シーズン後に回収するだけなのですが、これがなかなか揃わなくてライブラリアンに怒られます。何故譜面というのは散逸しやすいのか。

*12 吹きたい曲(パート)が重複した場合、技術力の劣る先輩が年功序列を持ち出してきた場合、大きなソロがある場合などに揉めることが多く、吹く前から精神力が擦り減ります。

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