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ブラームス:交響曲第2番

坂巻 隆輔(テューバ)

 ブラームスの交響曲第2番は、オーストリアの南、ケルンテン地方のヴェルター湖畔にある、避暑地ペルチャッハにて作曲された。自然豊かなペルチャッハで手掛けられたこの作品は、美しさやあたたかさが感じられる柔和な曲で、ブラームスの「田園交響曲」とも呼ばれている。交響曲第2番は短期間で作り上げられ、交響曲第1番を20年以上かけて書いた翌年に発表された。
 ブラームスの4つの交響曲のうち、第2番以外の3つは低音域の管楽器としてコントラファゴットが編成に入っている。第2番のみ、コントラファゴットは使用されずテューバが登場し、低音の補強による豊かなサウンドやトロンボーンとのコラールによるハーモニーを楽しむことができるオーケストレーションとなっている。本日は、コントラファゴットとテューバが両方使用されている「大学祝典序曲」、コントラファゴットのみが使用されている「ハイドンの主題による変奏曲」、テューバのみが使用されている「交響曲第2番」のプログラムだ。 低音の響きにも耳を傾けながら、演奏会を楽しんで頂きたい。


第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ ニ長調 3/4拍子
 冒頭に低弦が演奏する基本動機が曲を通して登場する。この低弦の動機と共に、ホルンや木管によりゆったりとした美しい第1主題が奏でられる。その後出てくる、ヴィオラとチェロによる第2主題は豊麗な音が響き、魅力的なものとなっている。


第2楽章 アダージョ・ノン・トロッポ ロ長調 4/4拍子
 長調ではあるが、どことなく寂しげな第1主題により始まる。この主題は4拍目から出発し、音楽の重みが弱拍である4拍目と次の小節の2拍目にあるのが特徴だ。明るい交響曲第2番の中で、重い一面を見せる。


第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ ト長調 3/4拍子
 オーボエの愛らしい主題から始まるこの楽章は、演奏時間が短い中でテンポやリズムが何度も変化し、ブラームスならではの工夫がなされている。


第4楽章 アレグロ・コン・スピリート ニ長調 2/2拍子
 弦楽器が静かに基本動機を用いた第1主題を掲示し、管を加えて明るい旋律が続いた後、休符を挟んで突然大きな音量でエネルギーが放たれる。強烈な音型や、木管の柔らかい旋律を経て、ヴァイオリンとヴィオラによる第2主題が現れる。その後、トランクイロ(静かに)で弦と木管が三連符で応答する。結尾は金管楽器が加わり、歓喜のたかまりを感じながら華やかにしめくくられる。


初演:1877年12月30日 ハンス・リヒター指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

楽器編成:フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、弦五部

参考文献:
ウォルター・フリッシュ(天崎浩二訳)『ブラームス 4つの交響曲』 音楽之友社 1999年
吉田秀和『ブラームスの音楽と生涯』 音楽之友社 2000年
西原稔『作曲家◎人と作品シリーズ ブラームス』 音楽之友社 2006年
淺香淳『作曲家別 名曲解説ライブラリー7 ブラームス』 音楽之友社 1993年

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