第152回演奏会ご案内


<旧ソ連の音楽>

 かつての超大国ソ連が消滅してもう5年が経過しようとしています。今回とり上げる3人はいうまでもなく「ソ連」を代表する作曲家です。スターリンがある日ショスタコーヴィチとプロコフィエフを呼びつけて「2人で一緒に国歌を作曲せよ」と命じた、という伝説があるほどです。結局実現はしませんでしたが。
 おもて面の作曲年代をご覧ください。1942-44-45年、第二次大戦です。ソ連は結果的には「戦勝国」でしたが、干万人単位の国民を失いました。その重苦しい時期に「戦勝視賀大交響曲」として期待されたのがショスタコーヴィチの第九でしたが、彼は「合唱付きスターリン賛歌」は書けませんでした。室内楽的な小交響曲に聴衆は落胆したそうです。
 ハチャトゥリアンの「ガイーヌ」はアルメニアの集団農場が舞台のバレエ音楽で、コーカサスの独特な旋律が随所に盛り込まれた彼の代表作です。また最後のプロコフィエフは、ドイツ軍がレニングラードから撃退された祝賀祭の夜に初演されました。これら3曲ともに、否応なく「ソ連」が深く問わっているわけです。
 芥川也寸志は国交回復前のソ連にウィーン経由で乗り込んでショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン両氏に会い、それ以来親交がありました。そして彼らの音楽は芥川の作風に大きな影響を与えています。それだけに芥川の思い入れは大きく、10年前には新響でショスタコーヴィチの交響曲第4番の日本初演を行いました。新響とともに30余年、常に新しい方向性を示してきた芥川の足跡を振り返るとき、この40周年に私たちは旧ソ連の三大家の作品の演奏をもってひとつの節目にすべきと考えました。指揮はショスタコーヴィチの10番でも共演して好評を博した小泉和裕です。(敬称暗)

<新交響楽団創立40周年シリーズ>

 労音アンサンブルとして1956年に発足した新交響楽団は今年創立40周年を迎えました。これを記念して毎回テーマを設けて演奏会を行ってまいります。
 シリーズ3回目の7月は「日本の交響作品展」と題した2夜連続プログラム。戦前から1950年までの曲目から厳選します。邦人作品を多くとりあげてきた新響の邦人作品演奏会の総決算となります。
 40周年の最後を飾るのが原田幸一郎指揮するオール・べ一トーヴェン・プロ。この偉大な作曲家の交響曲を特集した演奏会は、そのオーケストラの力量が正面から問われるものになりますが、新響はこれに挑戦します。40年間で培った音楽の蓄積を披露したいと考えています。

第152回演奏会(1996年4月14日)ちらしより


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