第175回演奏会のご案内


・新響は今、創立45年目

今年(2001年)は私どもアマチュアオーケストラ新交響楽団にとって、創立45年目に当たります。
1956年創立以来の芥川也寸志の指導、また、創立20周年を過ぎてからは山田一雄の指導も加わり、オーケストラとして飛躍的に成長してまいりました。この二人からは演奏技術の向上はもちろん、アマチュアオーケストラとしての在り方など運営面や精神面に至るまで、数多くの薫陶を受けてまいりました。残念ながら、1989年に芥川を、1991年には山田を相次いで喪いましたが、その後も理解ある数多くの指導者に恵まれ、おかげさまで今日まで歩みを重ねてくることができました。一昨年には芥川没後10周年の演奏会を、そして本年4月には山田没後10周年の演奏会を、ともに飯守泰次郎の指揮により開催いたしました。

・2006年の創立50周年を目指して

芥川、山田の二人の偉大な指導者が新響に残した業績は多岐にわたりますが、あえて一言で言えば、芥川は邦人作品への継続的取り組みを、山田はマーラー交響曲の全曲演奏を通じての音楽的表現力の向上を残した、ということになります。そして二人が
没したあとのこの10年間は、極言すれば、彼らの遺産をかろうじて維持してきただけとも言えなくもありません。
芥川、山田の二人から遺された財産を新響の音楽活動の指針とし、それに沿った活動の充実と発展をはかりながら、5年後の創立50周年をいかに迎えるかを、現在団内で議論を重ねております。団員による自主運営のオーケストラである私どもは、演奏会の曲目選定も指揮者と相談しながら自らの手で行なっております。アマチュアオーケストラといえども、単に自分たちの好みの曲だけを選ぶのではなく、新響として取り組むべき曲は今何なのかを、自問し続けております。

・原点へ立ちかえって

50周年へ向けての手始めに、オーケストラの基本的レパートリーたりうる古典派、ロマン派の交響曲に、今後何回か継続的に取り組むことを計画しております。そこで今回はまず、ブラームスの交響曲第1番を取り上げます。新響がこの曲を演奏するのは4回目で、これまで1964年芥川也寸志、1980年山岡重信、そして1990年に高関健の指揮で演奏を重ねて参りました。このところブラームスに意欲的に取り組んでいる飯守がどのような響きを作り上げていくか、大いに期待されます。

・ 新たなレパートリー

今次演奏会の1曲目として、ダンディの小品を初めて取り上げました。ヴァンサン・ダンディは19世紀末から20世紀にかけて活躍した、フランスの作曲家です。もっともドイツ音楽にずいぶん傾倒した様子で、1876年25才の時にバイロイトで「指環」を観てからは、すっかりヴァーグナーに心酔していたそうです。彼は歌劇から管弦楽曲、室内楽、歌曲まで、いろんなジャンルでたくさんの作品を残しました。日本では戦前山田一雄が初演した「フランスの山人の歌による交響曲」が、しばしば演奏されています。今度演奏する「魔の森」は27才の時の作品で、ヴァーグナーの影響がはっきりと表れています。
2曲目は、メンデルスゾーンの劇音楽「真夏の夜の夢」の抜粋です。「真夏の夜の夢」はご存知のとおり、元はシェークスピアの戯曲で、夏至の夜にいろいろな不思議な事がおこるという話です。シェークスピアはヨーロッパの古典であり、さまざまな分野の芸術家がそこから着想を得て作品を生み出しています。音楽はメンデルスゾーンだけでなくて、ブリテンやトマが歌劇を書いていますし、イベールやカール・オルフも劇のための曲を作っております。今回演奏するのは、この劇のための音楽から、序曲・スケルツォ・間奏曲・ノクターン・結婚行進曲の5曲です。新響ではこの有名な結婚行進曲は30年前に芥川指揮で演奏しておりますが、あとは初めてです。メンデルスゾーンはこのほかヴァイオリン協奏曲(1961・1968・1972芥川指揮)と交響曲4番「イタリア」(1973芥川、2000原田幸一郎指揮)以外は取り上げたことがありません。
ダンディとともに新たなレパートリーへの取り組みがどのような世界を広げてくれることになるか、お楽しみいただければ幸いです。
(S.K.)

第175回演奏会(2001年10月13日)ちらしより


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