第182回演奏会のご案内


湯浅譲二の世界へようこそ
 新響はこれまでにも橋本國彦や深井史郎、諸井三郎といった戦中戦後の邦人作曲家の作品を多く取り上げてきたほか、武満徹、伊福部昭など現代日本を代表する作曲家の作品にも積極的に取り組んでまりました。そして今回、私たちは世界に誇る邦人作曲家である湯浅譲二の作品に挑みます。
 湯浅は独学で作曲を学びましたが、'52年に武満徹らの総合芸術グループ「実験工房」に参加して以来、オーケストラや室内楽、合唱、電子音楽など幅広い作曲活動を行っています。
 今回、新響が取り上げる交響組曲『奥の細道』は、1995年に福島中央テレビの開局25周年を記念して委嘱された作品で、4つの楽章には、「行く春や鳥啼魚の目は泪」、「夏草や兵どもが夢の跡」などの副題がつけられており、芭蕉が僅かな言葉で著した豊かな情景を、湯浅は鋭い感性で華麗な音の絵巻として綴っています。
 この演奏会は東京都の「江戸開府400年記念事業」として、財団法人東京都歴史文化財団(東京芸術劇場)との共催となっています。江戸が生んだ俳聖・松尾芭蕉の作品を湯浅譲二の玲瓏たる音の世界でどうぞお楽しみ下さい。

ますます期待される飯守泰次郎
 今回の指揮者は、昨年7月の第178回演奏会以来1年ぶりの登場となる飯守泰次郎です。新響と飯守泰次郎は過去10年余りにわたって、ブルックナーやワーグナーなどのドイツ・オーストリア系の作品を中心に取り組んでまいりました。今回はソプラノの緑川まりと共に初めてR.シュトラウスに取り組むほか、長い年月をドイツで過ごした飯守ならではのシューマンをお送りいたします。どうぞご期待下さい。

新交響楽団のプロフィル
 1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。
 その後もマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(故石井眞木指揮)などの演奏会、1993年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。
 1996年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930年代から40年代にかけての知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第182回演奏会(2003年7月20日)ちらしより


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