第190回演奏会のご案内


今回の演奏会は4月の演奏会に続いて飯守泰次郎氏をお迎えします。演奏旅行等を除いて、新響が2回連続で同じ指揮者と演奏会を持つのは、音楽監督であった故芥川也寸志以来で、大半の団員にとっては初めての体験となります。前回の演奏会の指揮者の特徴がオーケストラとして記憶に新しく残っていることがどのように作用するのか。演奏者としても練習の段階から楽しみな演奏会です。

前回4月の演奏会はオール・ドイツ音楽でしたが、今回は趣のまったく異なる、色彩感溢れる作品を演奏いたします。ドイツ音楽にとどまらない「飯守ワールド」をご堪能ください。

1993年以来、継続的に飯守泰次郎氏と共演を続けてきた新響ですが、昨年はスケジュールの関係から共演が実現しませんでした。その間に、飯守氏はますます活発な活動を繰り広げ、社会的にも平成15年度に「芸術選奨文部科学大臣賞」受賞、平成16年度に「紫綬褒章」受章と、指揮者としての総合的な実力がゆるぎないものとして広く認められるようになっています。そこで今回、待ちに待った新響は「飯守ワールドへの渇き」を満たすべく意欲的なプログラムを組みました。

飯守泰次郎と邦人作品

飯守氏はドイツでのキャリアが長い指揮者ですが、日本人作曲家の作品にも積極的に取り組んでいます。新響とは1997年4月の武満徹「鳥は星形の庭に降りる」をはじめに、1999年1月深井史郎「パロディ的な4楽章」、1999年7月「芥川也寸志没後10年演奏会」、2000年1月諸井三郎「交響曲第3番」、2000年7月小倉朗「舞踏組曲」、2003年7月湯浅譲二「奥の細道」とさまざまな傾向の作品を取り上げてきましたが、この演奏会が7回目の邦人作品となります。

湯浅作品では作曲家から「初めて作品に魂が吹き込まれた」と絶賛を受けました。芥川氏の下で邦人作品の演奏経験を積んできた新響においても飯守氏の類まれな音楽性によってこれらの作品に新たな解釈を紡ぎだすことができました。

矢代秋雄の出世作「交響曲」

1958年に作曲された「交響曲」は矢代秋雄(1929−1976)がフランス留学からの帰国後、初めて書かれた管弦楽曲です。作曲家一流のフランス仕込みの作曲技法と日本的リズム感が結合した作風は日本の管弦楽史上ひときわ異彩を放っており、初演から半世紀近く経った現在でも矢代の代表作として頻繁に演奏されています。伊福部昭の弟子である矢代の作品を、伊福部作品の演奏に経験が深い新響がどう演奏するかをお楽しみください。

至高のバレエ音楽「ダフニスとクロエ」

モーリス・ラヴェル(1875−1937)作曲のバレエ音楽「ダフニスとクロエ」は近代管弦楽技法と新古典主義の理念とが融合を果たした究極の逸品です。今回の演奏では合唱(栗友会)を加えての全曲演奏をお届けいたします。

新響歯1987年にも山田一雄の指揮で「第2組曲」を演奏していますが、18年の時を経て、山田氏亡き後の新響が全幅の信頼を置く飯守氏の棒の下にどのような色彩のマジックを繰り広げるか、どうぞご期待ください。

栗友会(合唱)

栗山文昭を音楽監督兼指揮者とする6つの混声合唱団、7つの女声合唱団および1つの男声合唱団で構成されており、各団が独立して演奏会、レコーディング等を行いながら、「栗友会」としても企画主催して活動している。国内の各プロ・オーケストラの定期演奏会に数多く出演、多くの大規模な近代・現代作品を演奏してきた。

新交響楽団のプロフィル

新交響楽団は1956年に創立されたアマチュアオーケストラです。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演など意欲的な活動を行ってきました。またマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮、1979〜90)、ベルリン芸術週間への招聘・邦人作品演奏(故石井眞木指揮、1993)、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮、1996)、伊福部昭米寿記念演奏会(2002)、バルトーク「中国の不思議な役人」復刻版全曲演奏(2003)、石井眞木遺作「幻影と死」完全版初演(いずれも高関健指揮、2004)など、幅広い活動を積極的に展開しています。近年はロシア極東交響楽団芸術監督ティーツ、オフチニコフ(ピアノ)との共演など、海外の芸術家との交流にも取り組んでいます。


第190回演奏会(2005年7月17日)ちらしより


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