第192回演奏会のご案内


新交響楽団創立50周年シリーズ

新交響楽団は2006年で創立50周年を迎えます。新響は1955年に結成された労音アンサンブルをもとに翌56年3月1日に東京労音新交響楽団として発足しました(指揮者・芥川也寸志)。その後1966年には労音から独立、アマチュアオーケストラ「新交響楽団」として今日に至っています(下記プロフィルをご覧ください)。

2006年は「創立50周年シリーズ」として4回の特別プログラムをご用意いたしました。その第1回となる192回演奏会では50周年シリーズの初めとして、新響がこれまでに何度も取り上げてきた「ソ連作品」と邦人作品を、両作品に造詣の深い小松一彦の指揮で演奏します。

三善晃若き日の名作「交響三章」

三善晃(1933-)は管弦楽曲や合唱曲で名高い現代日本を代表する作曲家(74〜95年には桐朋学園大学学長)で、新響が2005年7月に取り上げた矢代秋雄とも親交がありました。今回演奏する「交響三章」も7月の矢代「交響曲」と同様に日本フィルハーモニー交響楽団から委嘱を受け、「日本フィル・シリーズ」の第4回目として1960年に完成・演奏されました。緻密なオーケストレーションと複雑な拍節感を持つ作曲家若き日の名作です。

ショスタコーヴィチ畢生の傑作交響曲「第8番」

ショスタコーヴィチ(1906-1975)が第2次世界大戦中の1943年に作曲した交響曲第8番は、極度に悲劇的な曲想の末に最後に平安に至るというドラマチックな作品です。この1943年という年号は、独ソ両軍によるスターリングラード(現ボルゴグラード)攻防戦において多大な犠牲を伴いながらもソ連が勝利した年で、これが第二次世界大戦の重要な転換点となった点で旧ソ連国民にとっては特別な意味を持っていました。ただし曲の構想そのものは攻防戦以前に固まっていたため、この曲にしばしば冠された「スターリングラード」の標題は不適当でしょう。いずれにせよこの曲はショスタコーヴィチ作品の中では演奏される機会が比較的少なく、新響にとっても初めての曲となりますが、室内楽的で静謐を極めた箇所からフルオーケストラの響きを遺憾なく発揮する場面まで、多くの聞き所をもつ5楽章形式の大曲です。

新響が小松氏の指揮でショスタコーヴィチを演奏するのは今回が初めてですが、2004年にサンクトペテルブルク・フィルで客演デビューを飾った小松氏が「旧ソ連」の響きがするこの交響曲をどのように仕上げるか、お楽しみください。

新交響楽団のプロフィル

新交響楽団は1956年に創立されたアマチュアオーケストラです。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演など意欲的な活動を行ってきました。またマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮、1979〜90)、ベルリン芸術週間への招聘・邦人作品演奏(故石井眞木指揮、1993)、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮、1996)、伊福部昭米寿記念演奏会(2002)、バルトーク「中国の不思議な役人」復刻版全曲演奏(2003)、石井眞木遺作「幻影と死」完全版初演(いずれも高関健指揮、2004)など、幅広い活動を積極的に展開しています。近年はロシア極東交響楽団芸術監督ティーツ、オフチニコフ(ピアノ)との共演など、海外の芸術家との交流にも取り組んでいます。


第192回演奏会(2006年1月22日)ちらしより


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