第155回演奏会(1996年10月)維持会ニュースより
新響ティンパニ奏者 桑形和宏
維持会のみなさん、はじめまして。維持会ニュース初登場です。桑形という姓は非常に珍しく、私が住む千葉県では、たぶんうちだけだと思います。
早くも本題からそれてしまいましたが、実は今回は、打楽器パートを代表して、みなさまに報告とお礼を述べさせていただくために登場したのです。
このたび新響では、2回にわけて、ティンパニを計5台購入いたしました。
これまで新響には、シカゴにあるラディック社の“プロフェッショナル・モデル”という楽器が4台(23、26、29、32インチ)ありました。30年近く君臨した、由緒ある楽器です。この楽器も維持会費で買っていただいたのですが、新響のニーズ等を考え、よりよい新しい楽器を、という打楽器パートのメンバーからの声が多くなってきました。
すぐに、打楽器パートのN氏を代表とする購入計画委員会が発足しました。その結果、千葉県の市原交響楽団に大きい方から3台の楽器を売却し、同じラディック社の“新プロフェッショナル・モデル”を5台(26、26、29、29、32インチ)購入しました。その不足分を、維持会費から補っていただいたわけです。本当にありがとうございました。
新しい楽器のよい点をいくつかあげてみますと、(1)音がいい:新しい楽器は非常に重いのですが、なぜかティンパニは、重いほど音がいいのです。(2)楽器の選択に幅ができた:同じ大きさの楽器が2台ずつあるので、曲の要求に合わせて、楽器の無理な音域を使用することなく、自由に楽器を組み合わせられます。(3)機能がすぐれている:以前の楽器に比べ、付属機能がとても充実しています。長くなりますが、音程を変えるペダルと音程を示すゲージ機能の充実はありがたいことです。バルトークの“オケコン”やマーラーの“7番”など音程のめまぐるしく変わる曲では、客席からは見えませんが、ティンパニ奏者はタップダンスを踊っているようなものなのです。(4)自前の楽器で演奏会が開ける:マーラーの“復活”のようにティンパニが9台必要な特殊な曲を除いては、レンタル楽器とはおさらばです。(5)打楽器パートの面々がやたら張り切っている:当然ですね。などなどです。
さて、わが打楽器パートですが、四捨五入すると、20才から60才までの男のみ7人で構成されています。職業も、サラリーマン、社長、教員、作家など様々ですが、あらゆる用事を差し置いて、練習に駆け付けてきます。演奏会にご来場の折りには、新しい楽器だけでなく(残念ながら次のベートーベンの演奏会では2台しか使いませんが)、恐らく新響でもっとも連帯感の深いパート、打楽器の面々にもご注目ください。