第160回演奏会(1998年1月)維持会ニュースより


フィンランドの基礎知識

森と湖の国
 フィンランド共和国は、1995年の調査で人口511万人、国土面積は33万8000km2(日本の約90%)。湖の面積は国土の9.4%にあたり、10万とも18万ともいわれる湖と国土の大半を占める美しい森の国。山が少なく平坦で、最高峰でも1300m位しかない。フィンランド人は自分の国や民族のことをスオミSuomiと呼ぶが、その語源は湖、池を意味するスオSuoからきたと言われる。

日本に一番近いヨーロッパの国
 スカンジナビア半島の根本、バルト海の一番奥に位置し、国の北部約3分の1は北極圏内にある。東にロシア、西にスウェーデン、北をノルウェーと国境を接し、フィンランド湾をはさんだ南にはエストニアがある。首都はヘルシンキHelsinki。

フィンランドの歴史
 1世紀:フィン人がフィンランドに入りラップ人を追いながら北上。毛皮を中心にローマと交易する。5世紀:鉄鉱を中心に独立した社会を形成する。1155年:スウェーデンがフィンランドへ侵入開始。同時にキリスト教をもたらす。1280年:スウェーデンの大公領となる(首都トゥルク)。1718年:スウェーデン、カレリア地方をロシアへ譲渡。1809年:ロシア、スウェーデンと戦いフィンランドを奪う(首都ヘルシンキ)。1904年:ロシア総督暗殺される。1917年:ロシアから独立。
 その後、ソ連、ドイツの侵入を受け、第二次大戦時にも再びソ連と戦争をする。大戦後はカレリア地方、ペッツァモ地方をソ連に譲渡し、多額の賠償を課せられたが、8年で完済。1952年ヘルシンキオリンピック開催。日本やドイツと同じく国連旧敵国条項対象国。1995年EU正式加盟。

「カレワラ」と独立運動
 私の生まれた国スオミ、またの名を「カレワの里」と呼ぶ気高くうるわしい地に、古くから伝わる一族の詩物語がある。今ここで、あなた方に話すように、私は聞かされ育ったのだ。カレワの里とは英雄たちの古里のことで、「カレワラ」と呼ばれていた。このカレワラで、一番尊敬され、知恵と勇気に溢れ、詩の力で魔法さえ使うことができた一人の古老がいた。彼の名はワイナモイネンといい、大気の乙女イルマタルから生まれたということだ。〜「カレワラ タリナ」
 フィンランド東部のカレリア地方に伝わる口承詩「カレワラ」が採集され1835年出版された。この頃フィンランドはロシアの統治下にあり、次第に民族意識が高まりつつあった。「カレワラ」の登場人物たちは強い意思を持ち、目的に向かって粘り強くことを進める素朴で正直な人々で、普遍的なフィンランド人像を示していた。この本が出版されるや、全国民がむさぼるように読み、民族意識が著しく鼓舞された。芸術家たちはこぞって「カレワラ」をとりあげ、彫刻や絵画に「カレワラ」の精神を表現した。シベリウスは「カレワラ」に啓発され、強い祖国愛をこめて「フィンランディア」を書いた(1900年初演)。こうしてフィンランドの独立運動は文武両面から高まり、1904年ロシア総督暗殺の後、1917年ロシア革命に乗じて独立を達成した。
 シベリウスの交響曲第2番(1902年初演)が、彼の7曲の交響曲の中でも最も民族的情緒が豊かなのも、おそらく独立運動の高まりの中で作曲されたためであろう。

ルーツはアジア人?
 国民の95%がフィン民族。金髪か亜麻色の髪に青い目のいわゆる北欧人だが、他の北欧人に比べるとやや小柄な印象を受ける。元はウラル山脈のあたりにいたアジア系の民族(フィン−ウゴル族)が途中に支族を残しながら(ハンガリー人やエストニア人)移動し、ここに定住した。そのため、他の北欧人とは全く違う言語、フィンランド語を話す。フィンランド語は英語やドイツ語とは違う系統の言語で、語彙・文法共、全く共通点がない。
 その他には、数パーセントのスウェーデン系民族(主に西南部に住む)と、北方のラップランドにすむサーメ人(4000人ほど)がいる。

先進国フィンランド
 北欧は福祉制度の面で先進国で、文化政策、自然保護、医療など優れており、それに伴い税金が高いことはよく知られている。
 日本で話題のキシリトール(虫歯を抑制する甘味料)はフィンランドで生まれたもので、フィンランドでは、食後にキシリトール入りガムをかむ習慣を普及させ、子供の虫歯を大幅に減らすことに成功している。
 また、フィンランドでは1906年ヨーロッパで最初に女性の参政権が認められた。女性の社会進出が著しく、ほとんどの夫婦が共働きで、閣僚、議員、大会社社長や役員などにも多数女性が名を連ねる。

フィンランド人はお酒好き
 フィンランド人は有名な大酒飲み。昼間からビールを飲み、火を吹くような強い酒も好まれる。シベリウスも大変お酒に強かったらしい。
 フィンランドには東郷平八郎の顔を印刷したラベルのビールがあり(ロシアが日露戦争で敗北し、その混乱でフィンランドが独立できた)対日感情はいいと言われている。


フィンランド関係リンク集

NON-Official Page of Finland
フィンランドの情報を集めた小野島さんのページ

Kauppatori
フィンランドでホームスティをしたマリさんのページ
フィンランド料理の作り方など

Andrew's Finland
アンドウさんのフィンランド旅行記

Suomen kieli - Finnish language (Japanese)
フィンランドに1年間住んでいた浅野さん(コントラバス弾き)のページ
フィンランド語やフィンランドの文化など

まっすぐな路。フィンランド航空。
ヘルシンキまで往路10時間、復路9時間30分...一番近いヨーロッパ

Sibelius - the Great Finnish Composer
音も聴けるシベリウスのページ(英語)


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