2005年12月維持会ニュースより
「つぶやかせて頂きます」
大庭美和子(チェロ)
私は、中学生の頃から三善晃先生の合唱曲が好きでした。三善先生の作品で初めて弾いた(オンチだったので−今もですが−歌わせてもらえずピアノ担当になったのでした…)曲は、たしか「月夜三唱」〜「月の光その二」(詩/中原中也)。ピアノ効果が素晴らしく、私がマジメにピアノのおさらいをしよう、と思うきっかけになった曲の一つだったような気がします。
なのに、今回演奏いたします「交響三章」…
あの愛着いっぱいの合唱曲とは別人(?!)なのです。。
5拍子、7拍子、9拍子など変わった拍子がたくさん出てくるし、毎小節拍子が変わる箇所もあったりして、リズムが複雑きわまりなく、その上、長い休符が続き、普段たくさん休みを数えることに慣れていない弦楽器奏者である私は、数えるだけで大変。というより、かなり緊張しています。なので、練習中「ここは誰?私はどこ??」と迷子になることも度々。(皆さまゴメンなさい)演奏技術に加えて、いかに、休みをなんなく数えるかという技術も要求されて…あぁ〜、時間が足りません。。その昔、合唱の舞台で「歌を歌う人は、楽譜に言葉も書いてあるので楽器奏者よりも大変です」と話されていた三善先生のお言葉がとても印象に残っていますが、楽器奏者も、十分タイヘンです!
でも、なぜか自然に気持ちに入ってくる感じのするこの曲が私は好きです。
三善先生は「器楽曲で日本語を書いている」「この交響三章でも、最初と最後に出てくるのは日本語そのものなのです」というとても興味深く貴重なお話をされていますが、その「最初」はチェロ独奏です!チェロならではの太く歌いかけるようなやさしい音色で、この曲が始まるのかと思うだけでワクワクします。
そういえば…
幼い?日に見たアニメーション/世界名作劇場「赤毛のアン」のオープニング&エンディングのテーマ曲を作られたのは三善先生でした。(当時は、この名作シリーズの中で、この曲だけ異質な感じがしていましたが、今なら頷けます。)どちらもピアノ大活躍の素晴らしい曲で、殊にエンディングの無窮動のようなピアノの響きに憧れた記憶があります。「交響三章」でもピアノのリズムが難しく「私、死にものぐるいでさらいます!」とピアニストが公言しておりましたっけ。
私も死にものぐるいで!さらいます。