維持会ニュース団員紹介コーナー(1999.6月号)より
1.氏名、2.パート、3.生年月日、4.入団して何年?、5.出身、6.職業・普段の顔、7.使用楽器、8.好きな曲・好きな演奏家、9.印象に残る新響の演奏・演奏会、10.新響に一言、11.維持会員の皆様に一言
1.志村 努(しむら・つとむ)
2.トロンボーン
3.1959年5月11日(月)
4.1984年11月入団ですからもう15年もたちます。
5.東京は田無の出です。某新響Vn奏者とは幼稚園と小学校が一緒です。(さてその人は誰でしょう?)最終楽歴は東京大学音楽部卒です。
6.平日は大学附置研究所の教員をしております。日々レーザー光線と戯れております。家族は元新響団員(Vn)の妻と4歳と1歳の男の子です。
7.メーカーは「西」ドイツの通称レッチェ(つづりはLaetzschですが、正しい発音がわからない。レトゥツシュかもしれません。)残念ながら先代のマイスターのヘルベルト・レッチェの作ではありません。細管ダブルボアスライドで、Bb-FテナーバスとBbテナー切り替えのディタッチャブルF管付きです。気に入っている点はフォルテでドイツ管特有の「シャーン」というか何というか独特の明るい響きがする(はずなんですけど)ところと、レガートっぽい滑らかな表現が容易な点です。マウスピースも最近はやりのドイツ製の「J・K(ヨゼフ・クリアー)」でモデルは8Dです。苦労している点は奏者がイモなので、楽器本来の性能が出ない点と、音の立ちあがりがやや遅くて、その分無理やり楽器に息を押し込まなければならない点です。
8.好きな曲は、演奏するという点からは、トロンボーン吹きですから何といってもブラームスとマーラーの交響曲です。この2人はオーケストラのトロンボーンに最高の音を出させる術を知っています。ブラームスなどは、トロンボーンは「ここ一番」というところしか使ってくれませんので、曲のほとんどが休符ですが、出てくるところ出てくるところ全て実に効果的で、吹いているのに目立たないというところは皆無です。マーラーはトロンボーンの表現の幅を目いっぱい使ってくれます。おまけに奏者をバテさせない憎い心遣いが全曲にちりばめられています。本職が指揮者だったせいでしょうか。あと新響ではやらないと思いますが、モーツァルトもトロンボーンの使い方は最高です。ミサ曲のトロンボーンパートは、吹いていて泣けます。ただし彼はトロンボーンは「教会くさくて古臭い」という理由で最新のジャンルである交響曲には使ってくれませんでした。
聴く方では割とフランスものが好きです。あとは飯守先生の影響で、ワーグナーにはまりつつあります。
好きな演奏家は,トロンボーンでは何といってもカラヤン時代1980年代の半ばまでベルリンフィルのトップだった「ヨハン・ドムス」です。「カラ=ベル」でのブラームスのソロの色っぽさは最高です。彼と同じ楽器を使っている私は結構ミーハーだと言われてもしかたがありません。あとはフランスの「ミシェル・ベッケ」のソロも結構好きです。それから忘れてならないのが、イギリスのフィリップ=ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの「ジョン・アイブソン」です。あとはハリウッドのスタジオ・バストロンボーン奏者の「ジョージ・ロバーツ」もしびれるトロンボーン吹きです。もひとり、1991‐92のシーズンにモントリオール交響楽団にいたトロンボーンのトップのお兄ちゃん(彼は今もいるかなあ)もすごい奏者だと思います。日本人では、日フィルの箱山さんが「ドイツ管」のすばらしい音色を出していらっしゃるという点で贔屓にさせていただいています。それから、「東京トロンボーンカルテット」も世界に誇れる日本の演奏団体だと思います。
トロンボーン以外では「東」ドイツのトランペットの「ルードヴィヒ・ギュトラー」、名前がわかりませんが、モントリオール交響楽団のフルートのトップのひげおじさん、ヴァイオリンの「チョン=キョン・ファ」、とまだまだとりとめも無く続きますが、きりが無いのでやめておきます。あ、そうそう、最後にもうひとつ、ずいぶん前から「アルバン・ベルク・カルテット」にははまっています。彼らの音楽のダイナミックさは「金管アンサンブル」に通じるものがあると思います。
9.ずいぶん前のことですが、ブラームスの交響曲1番の4楽章のトロンボーンのコラールの前で、心臓が口から飛び出しそうになるくらい緊張したのと、Aの音が当たった瞬間、心の中で「やったー!」と叫んだのが一生忘れられません。でも指揮者の高関先生には「ノンビブラートで」と言われていたにもかかわらず、緊張でビブラートがかかってしまったのが心残りです。でも当たって本当に良かった。あとは昨年の4月に念願のマーラーの6番が吹けたのが一生の思い出です。
10.自分自身にも新響にも無いものが「様式感」だと思っています。譜面どおり音を並べれただけでは音楽にならないのが音楽の難しさと面白さだと思います。様式のしばりの中で、自由な音楽表現をすることがクラシック音楽の醍醐味ではないでしょうか。
11.新響の団員は結構「オタク(もちろん音楽の)」が多いと思っています。レセプションなどにぜひおいでいただき、維持会員の皆様とも「オタク」談義を繰り広げたいと思います。どうかよろしくお願いします。